2004年 10月 25日
憲法 |
伊藤真の憲法入門―講義再現版
伊藤 真 / 日本評論社
新保守主義的な憲法改正の流れができつつある現在。
「アカデミックで、ちょっとリベラルな憲法の見方」を探るべく、
読んでみました。
法律とは?=社会規範
「一定の時代の一定の地域の価値観のあらわれ」
「~である」ではなく、「~べきである」の世界
※法を守ることは、社会の規則を守ること。
この部分から、社会学との関連で法を見てみよう。
法と道徳
法と道徳の違いは、国家権力の強制力の有無である
※道徳=非国家ということもできるのでは?
道徳を法律で定義しようなどというのはナンセンス
法解釈
文理解釈=条文の言葉に忠実な解釈
目的論的解釈=その趣旨、目的に沿うような解釈
憲法の存在意義
「国家権力の行使に歯止めをかける」
法律が国民の自由を制限するものであるのに対し、
憲法は国家権力を制限して国民の自由を守るもの。
※ここが大きな認識の違い。
法律の大元締めみたいに憲法を考えては間違い。
憲法を擁護する義務を負うのは?=99条
天皇、摂政、国務大臣、国会議員、裁判官、公務員
not国民。国民は憲法に反対する価値観を持つことも可能。
徹底した自由主義の憲法である。
憲法の特質
自由の基礎法
「個人に着目し、個人の自由を保障することを目的とする」
「人権と統治は目的と手段の関係にある」
統治機関は人権を守る手段としてある
※国家のために個人が存在した戦前とは180度の転換だ
最近の国家への寄与を強制する流れに対して、憲法を教えることで
歯止めをかけることはできないだろうか
個人の尊重=13条
幸福追求権。公共の福祉に反しない限り。
また、制限規範、最高法規である。
基本的人権
最初は自由権→社会的弱者の救済→社会権も登場
1919年のワイマール憲法が最初。
国際的には1966年の国際人権規約で。
自由権=国家からの自由
精神的自由→19条(思想・良心の自由)、20条(信教の自由)
21条(表現の自由)、23条(学問の自由)
経済的自由→22条(職業選択の自由)、(財産権の保障)
人身の自由→18条(奴隷的拘束をされない)、
31条(適正な手続きない処罰の禁止)
参政権=国家への自由
社会権=国家による自由
25条(生存権)、26条(気養育を受ける権利)
27条(勤労の権利)、28条(労働基本権→団結権、団体交渉権、団体行動権)
受益権=国家へ行為を請求する権利(社会権に含まれないもの)
16条(請願権)、32条(裁判を受ける権利)、
17条(国家賠償請求)、40条(刑事補償請求)
※さまざまな自由がある。国家は、国民のためにある。
国民へのサービス機関、実質的平等を図る機関だ。
また、グローバリゼーションとともに、人権を守られる範囲の変化に
いかに対応するか、また、新しい権利(環境権など)をどう盛り込むか。
公共の福祉
公共の福祉≠社会一般の利益、社会秩序
他の個人の人権との調整、実質的公平の原理
※勘違いしてました。反省。私と私の間としての公。
自由国家的公共の福祉と社会国家的公共の福祉
自由=他人の人権を侵害しない限り
社会=弱者のために強者の人権を制限、
経済的側面の実質的平等のために限る
人権の問題を考える際の視点
①誰の人権が問題か?
②どのような人権が問題か?
③誰によって制約されているか?
④制約は許されるのか?
⑤どこで救済されるのか?
※ここをちゃんと分けて考えないとね。
法の下の平等=14条
自由主義的形式的平等と
社会主義的実質的平等がある
本質的平等は前者。
表現の自由=21条
自己実現の価値=表現することで個人のレベルでの自己実現
自己統治=表現することで、議論を戦わせ、国民の意見が政治に反映される
民主主義にとって、表現の自由は不可欠
知る権利=21条
情報の送り手と受け手の乖離、固定化
受け手の側の自由として保障
※この部分でマスコミが「知る権利」を盾にしてるのは間違い
(もしくは意図的に…?)
三権分立は省略
超国家的な制度
抵抗権=憲法にない国家権力による国民の権利の侵害に対し、
国民が抵抗する権利
国家緊急権=戦争、災害時などの平時の統治機構で対処できない
非常事態に対し、国家権力が憲法秩序を一時停止する権利
9条の問題
ロジックの部分は省略。
「今の憲法の体制で一番危険なのは、事実上の軍隊があること。
そして、それをコントロールする条文がどこにもないということ」
自衛隊法を改正すれば何でもできる。
民主的なシビリアンコントロールを規定すべき。
※こういうベクトルでの改憲ならば賛成。
基本的認識に誤りがあって、見直せてよかった。
「べき」論であり、普遍的でない法という問題について、
自分なりの意見を持つことが重要。
また、考える機会を持たせる教育が必要。
9条関係はもう少し深める必要あり。
伊藤 真 / 日本評論社
新保守主義的な憲法改正の流れができつつある現在。
「アカデミックで、ちょっとリベラルな憲法の見方」を探るべく、
読んでみました。
法律とは?=社会規範
「一定の時代の一定の地域の価値観のあらわれ」
「~である」ではなく、「~べきである」の世界
※法を守ることは、社会の規則を守ること。
この部分から、社会学との関連で法を見てみよう。
法と道徳
法と道徳の違いは、国家権力の強制力の有無である
※道徳=非国家ということもできるのでは?
道徳を法律で定義しようなどというのはナンセンス
法解釈
文理解釈=条文の言葉に忠実な解釈
目的論的解釈=その趣旨、目的に沿うような解釈
憲法の存在意義
「国家権力の行使に歯止めをかける」
法律が国民の自由を制限するものであるのに対し、
憲法は国家権力を制限して国民の自由を守るもの。
※ここが大きな認識の違い。
法律の大元締めみたいに憲法を考えては間違い。
憲法を擁護する義務を負うのは?=99条
天皇、摂政、国務大臣、国会議員、裁判官、公務員
not国民。国民は憲法に反対する価値観を持つことも可能。
徹底した自由主義の憲法である。
憲法の特質
自由の基礎法
「個人に着目し、個人の自由を保障することを目的とする」
「人権と統治は目的と手段の関係にある」
統治機関は人権を守る手段としてある
※国家のために個人が存在した戦前とは180度の転換だ
最近の国家への寄与を強制する流れに対して、憲法を教えることで
歯止めをかけることはできないだろうか
個人の尊重=13条
幸福追求権。公共の福祉に反しない限り。
また、制限規範、最高法規である。
基本的人権
最初は自由権→社会的弱者の救済→社会権も登場
1919年のワイマール憲法が最初。
国際的には1966年の国際人権規約で。
自由権=国家からの自由
精神的自由→19条(思想・良心の自由)、20条(信教の自由)
21条(表現の自由)、23条(学問の自由)
経済的自由→22条(職業選択の自由)、(財産権の保障)
人身の自由→18条(奴隷的拘束をされない)、
31条(適正な手続きない処罰の禁止)
参政権=国家への自由
社会権=国家による自由
25条(生存権)、26条(気養育を受ける権利)
27条(勤労の権利)、28条(労働基本権→団結権、団体交渉権、団体行動権)
受益権=国家へ行為を請求する権利(社会権に含まれないもの)
16条(請願権)、32条(裁判を受ける権利)、
17条(国家賠償請求)、40条(刑事補償請求)
※さまざまな自由がある。国家は、国民のためにある。
国民へのサービス機関、実質的平等を図る機関だ。
また、グローバリゼーションとともに、人権を守られる範囲の変化に
いかに対応するか、また、新しい権利(環境権など)をどう盛り込むか。
公共の福祉
公共の福祉≠社会一般の利益、社会秩序
他の個人の人権との調整、実質的公平の原理
※勘違いしてました。反省。私と私の間としての公。
自由国家的公共の福祉と社会国家的公共の福祉
自由=他人の人権を侵害しない限り
社会=弱者のために強者の人権を制限、
経済的側面の実質的平等のために限る
人権の問題を考える際の視点
①誰の人権が問題か?
②どのような人権が問題か?
③誰によって制約されているか?
④制約は許されるのか?
⑤どこで救済されるのか?
※ここをちゃんと分けて考えないとね。
法の下の平等=14条
自由主義的形式的平等と
社会主義的実質的平等がある
本質的平等は前者。
表現の自由=21条
自己実現の価値=表現することで個人のレベルでの自己実現
自己統治=表現することで、議論を戦わせ、国民の意見が政治に反映される
民主主義にとって、表現の自由は不可欠
知る権利=21条
情報の送り手と受け手の乖離、固定化
受け手の側の自由として保障
※この部分でマスコミが「知る権利」を盾にしてるのは間違い
(もしくは意図的に…?)
三権分立は省略
超国家的な制度
抵抗権=憲法にない国家権力による国民の権利の侵害に対し、
国民が抵抗する権利
国家緊急権=戦争、災害時などの平時の統治機構で対処できない
非常事態に対し、国家権力が憲法秩序を一時停止する権利
9条の問題
ロジックの部分は省略。
「今の憲法の体制で一番危険なのは、事実上の軍隊があること。
そして、それをコントロールする条文がどこにもないということ」
自衛隊法を改正すれば何でもできる。
民主的なシビリアンコントロールを規定すべき。
※こういうベクトルでの改憲ならば賛成。
基本的認識に誤りがあって、見直せてよかった。
「べき」論であり、普遍的でない法という問題について、
自分なりの意見を持つことが重要。
また、考える機会を持たせる教育が必要。
9条関係はもう少し深める必要あり。
by itsuky
| 2004-10-25 21:07
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